シュガーマン

DSC_0089                                                            話題の音楽ドキュメンタリー映画 シュガーマンを観てきた。関東圏内では有楽町での上映だったので、懐かしい皇居周辺をドライブがてら行って来たよ。個人的な感想としては、以前に観たキューバのおっさんミュージシャン達の話、ブエナビスタソシアルクラブのほうが感動したけど、シュガーマンもいい話だったよ。上映中に俺が考えていたことは、山内テツさんのことだ。山内テツって知っているか?団塊の世代で洋楽ファンなら一度はこの名前に聞き覚えがあると思う。フェイセスやフリーのベーシストとしてロンドンでプレーしていたミュージシャンだ。あの野茂が日本人大リーガーのパイオニアなら、テツさんは海外でプレーするバンドマンのくさわけ的な存在といえるだろう。俺はそのテツさんと音楽とは全く関係ない場面で出会った。墓掃除の仕事をしていた頃、鎌倉の妙本寺で初めて会った。口数が少ないけど、ファンキーなオーラビンビンのオヤジが、まさかあのロッドスチュアートのバックでベースを弾いていた山内テツとは思ってもいなかったもんだから、本人だとわかった時はびっくり仰天したよ。聞けばもう随分長いことこの仕事をしているらしい。俺にとっちゃそんな事どっちでもいい事で、もう即テツさんの大ファンになったよ。大学生のアルバイトに「おじさん」と言われても、ひょうひょうとして黙々と仕事をするテツさんの後姿は、それだけでただ者じゃないかっこよさに輝いて見えた。自分より年上で憧れてしまう先輩に出会うなんて、もう随分と長い事なかったもんだから、俺も興奮でドキドキしたもんだ。鎌倉扇ヶ谷のテツさんの家で、焚き火を囲んでオーティスやテンプテーションズなんかをセッションしたり、俺の車でアレサやボブマレーなんかを二人して大声で唄ったり、昼休み酒屋の立ち飲みでビールを飲んだこと、またテツさんのウエルカムパーティーをクラプトンの家でしたときの話、全米ツアーで南部の黒人プランテーションであった出来事など、俺にとっては大好きな人と過ごせる至福の時間だったよ。さらに原宿のクロコダイルでのライブ、テツさんのスタッフとしてご招待してくれた事は、友達に自慢できる話だよ。俺には墓掃除の現場で働いているときのテツさんも、クロコのステージで仁王立してゴンゴンベースを弾きまくるテツさんも同じように眩しいよ。昔の栄光やキャリアなんか全く気にもかけづ、業界なんか興味も示さないで、ひたすら自分がしたい生き方をしてるテツさん、似非ロッカーがゴロゴロしてるなかで、テツさんの生き様こそがロックだよ。俺はそんなテツさんが大好きだよ。でもテツさん、テツさんは知らないだろうけど、俺はいつもテツさんに会う時は決まって緊張で腹が痛くなるんだぜ。それと友達として言わせてもらうけど、少し酒は減らしたほうがいいぜ。これから先も長い付き合いさせてもらうんだからな。IMG_0908